Sep 25, 2015

永遠の猫さがし


1年とちょっと前のできごと、
ある日の朝5時ごろ、飼っていた猫がベランダから抜け出しいなくなってしまった。

猫というのはあっけなくいなくなってしまうもので、
小学生のころ飼っていた猫もわたしがトイレで用を足している最中に挨拶に来たきり
ふいっとどこかへ行って二度と帰らなくなってしまった。

夫が海外出張ばかりのわたしにとって犬と猫はかけがいのない同居人であり
一緒に寝たり愛でたりごはんをあげたりすることで孤独のぎりぎりのところを
ずっと保っていたので、もしも見つからなくて二度と会えなくなったら...と考えるだけで
じぶんの体半分が消失してしまうような大きな不安に襲われていた。

わたしは犬をつれて家のまわりをぐるぐるぐるぐる練り歩いたんだけど
さがすもなにも外の世界は広すぎて、おまけに涙で視界がみえず、
早朝に号泣しながら犬のさんぽをする不審な女になってしまった。

その日も朝までパソコンをさわっていたのでいつのまにかソファで寝てしまい
起きたらメールをみた母親が朝マックを買ってかけつけてくれていた。
わたしは何か起きたらまず母親にメールする癖がある。

しかしながらあんなにも味のしないマックグリドルははじめてだった。

声の大きい母親のよびこみの努力もむなしくなにもしっぽをつかめないまま
夕方になり、母親は家へ帰ってしまったのでまた犬と捜索へでることにした。

家の裏には古い銭湯があって、そこを切り盛りしている小さな奥さんが
利用者のおばあさん5人くらいと井戸端会議をしていたので、
勇気をだして「猫、みかけませんでしたか?」とたずねてみた。
収穫は得られず、とりあえず犬をうんちさせようとぐるっとさんぽして
家に帰ってきたとき、銭湯の奥さんが「あんたー!あの猫ちゃうかー!」と
銭湯のガレージに停まっている車の下を指さした。逃げた猫だった。
(帰ってきた・・・・・!)わたしは猫を車の下からひきずり出し抱き上げた。
抱き上げて泣いていると銭湯の奥さんまで泣き出してわたしに抱きついてきて
さらに犬も猫の匂いを嗅ごうと立ってよりかかってくるので
通行人からみると私たちはゴールを決めたサッカー選手みたいになっていた。

何回も何回も奥さんにお礼を言い家に帰った。
ほんとうになんだかわからないけど永遠のように感じた1日だった。

その日、わたしは「永遠の猫さがし」という題でブログを綴ろうと思ったけれど
なぜかもうすこし時間がたってからにしようと思って書くのをやめた。
そしてすっかり忘れていた今日、なぜかふと思い出したので書くことにした。
彼女はいまもリビングのお気に入りのカゴで寝ています。